繋いでくれた歌【完結】
「そうだ、彼女の名前は?」
「ひまり。ひまりだよ」
勝手にケーが代弁した。まあ、緊張してトチりそうだから助かったけども。
「そうか。本名も素敵だし、そのままがいいかね」
「社長。そういった話は、彼女の歌声を聞いてからでもいいでしょうか?」
「全く。新條は固い!ほんっとうに!」
そう言って社長が眉根を顰めるが、新條さんも負けてはいない。
「この件に全く以て固さは関係ありません」
「わかってるわ!ケーが認めた子だ。悪いわけがない」
うわあ。どんどんとプレッシャーが私にのしかかるんだけど。
怖すぎる。
「ひまりの声を気に入らないわけがないよ。
ねえ、ひまり。今歌って」
「……え?」
笑顔で何、怖いこと言ってるの。この人。
まだ心臓バクバクしてるのに。