繋いでくれた歌【完結】
「川和田さん、パソコンでこれ流せますか?」
「ああ、流そう」
ケーからCD-ROMを受け取り、川和田さんがパソコンを置いてる机に向かった。
CDをセットして操作すると、パソコンからケーの音楽が流れ出す。
それはこないだ作ったばかりと言っていた新曲。
私はCDと共に歌詞も手渡されていたし、既に何度も聞いていた曲だ。
頭にメロディは入ってる。
だけど、ちゃんと歌声になるか。
社長と新條さんの視線が突き刺さる。
「……」
「ひまり。大丈夫」
ケーが私の緊張をほぐすように、そっと手を繋ぐ。
「僕はひまりの歌声が好きだよ」
「……」
曲は前奏からAメロに入ろうとしていた。
私はしっかりとケーの目を見て頷く。
すうっと息を吸った。
それから、私は一音一音丁寧に歌を紡いでいく。