繋いでくれた歌【完結】
その時、パンパンっと手を叩く音がした。
それをしたのは社長だった。

目を真ん丸にしながら私は社長を見る。
社長はニヤッと口角をあげると、新條さんに向かって話しだした。



「新條、文句はないだろう?」

「……ないですね」

「よし。それじゃあ、デビューに向けて早速進めてくれ」

「そうさせていただきます」


そう言うと、新條さんはスクっと立ち上がる。
全く話に付いていけてない私。


「えっ、デビューってどういう……」


思わず、そう口にすると新條さんがこっちを見て小さく息を吐いた。



「貴方のデビューですよ」

「え」


私はぽかんと口を開ける。
私の、デビュー?


寝耳に水だ。



「ケーの曲を埋もれさせるのは惜しいですからね。
貴方の話をしたらすぐにデビューさせろって社長がいうモノですから…」

「……」


驚いたまま社長に視線を移す。
社長は何も言わずに笑顔で頷いた。


「でも、歌声を聞いて納得しました。
どうやら…」


そこで言葉を区切ると、新條さんが真面目な顔を少しだけ和らげる。


「化学反応が起きたようですね」


そう言った。


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