繋いでくれた歌【完結】
私は唖然として新條さんを見つめた。
ふっと微笑むと、何も言わずに新條さんは扉を開けて出て行った。
「さーて。忙しくなるぞ。ははは」
嬉しそうにそう言う社長。
余りにもトントン拍子に話が進むから、頭が付いていかない。
訪れたビッグチャンス。
それを目の当たりにして、私の体は微かに震えていたらしい。
ケーが私の手をぎゅうっと握った。
「大丈夫だよ、ひまり」
「……ケー」
「僕がひまりにステージをあげる。
だから、ひまりはそこで思う存分歌って」
「……」
「ひまりが楽しく歌ったなら、必ずそれは皆の元に届くから」
「うん」
「僕はいつだってひまりの味方だから」
「……ありがとう」
嘘偽りのない、そのケーの言葉。