繋いでくれた歌【完結】
「……でも、僕は自分に全く興味がない。
前にも言ったよね?誰かの為じゃないと曲が浮かばないって」
「うん」
「誰かの為に作った曲を、自分で歌うのはどうしても違和感があってさ。
確かに僕が歌詞を書いてるし、僕の歌なんだけど」
「うん」
「それでも、そこにはリアルがないんだよ。
僕じゃない誰かがその曲を噛み砕くから、リアルになると思ってるんだ」
「うん」
「ひまりは僕の曲が好き?」
ぎゅうっと一層、手が強く握られた。
不安そうなケーの顔。
ケーの曲はたくさんの人を感動させることが出来るのに。
どうして、そんなにも不安に思うんだ。
「誰かが嫌いだって言っても、私はケーの曲が好きだよ」
そう伝えると、ケーは照れ臭そうにはにかんだ。