繋いでくれた歌【完結】
「……ケー」
「ん」
「私も、ケーの側にいたい」
「……うん」
微かに頬を緩ませ、ケーが私を見つめる。
少しだけ潤んだ瞳。
その瞳と視線を絡め合せながら、私は続けた。
「それで、一番に私に曲を聞かせて」
「そんな事でいいの?」
「うん。彼女の特権って事で、いいかな」
「はは。ひまりなら彼女じゃなくたって一番に聞かせるのに。
でも、……嬉しい。僕の彼女になってくれるの?」
「うん。なりたい」
自然とケーは私の心の中に入り込んできた。
それはあまりにも自然で、呼吸をするかのようで。
ケーと知り合った時間なんて、私の生きた時間と比べたらとっても短いのにさ。
ケーがいないこの世界の事なんて考えられなかったんだよ。
生きていくには、生きにくい世界。
その世界でケーの隣は唯一、ゆっくりと息が吸える場所なんだ。
その場所を、私は手放したくなんてない。