白い花が咲いたなら

 モジモジしながらソッポ向いてるあたしに、彼はまた声をかけてきた。


「あの白い花、気になるんだろ?」


 ……白い花?

 あたし、花の色なんて話してないよね?


「なんで近藤くん、花が白いこと知ってるの?」


 と、質問した時にはもう、彼はすでに廊下の遥か向こうを歩いていた。


 こらこらこら!

 人を誘っておきながら、思いっきり置き去りにするんじゃないー!


「ねえ、待ってよ!」


 あたしは慌てて、遠ざかる彼の姿を追って走った。

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