白い花が咲いたなら

「ちょっと待ってったら。無視しないでよ」

「無視なんかしてねえだろ?」


 ちょうど図書室の手前で追い付いたあたしに向かって、彼はイタズラっぽい顔で笑いかけた。


「無視どころか俺、ずっとお前を見つめてたつもりだけど」

「……!」

「あれ? 気付いてなかった? 俺の熱い視線」


 あ……

 熱い視線って……。


 あたしは銅像みたいに固まってしまった。


 面と向かってそんなこと言われちゃって、とても身動きなんかできない。


 真っ赤な顔して口をパクパクさせているあたしの様子を見て、近藤くんがプッと笑った。


「うわー、酸欠おこした金魚みてえ」

「な、なによそれ!?」

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