白い花が咲いたなら

 恥ずかしげもなく、彼はそう言った。


 あたしは自分の赤くなった頬を夕日がごまかしてくれていることに、心底感謝する。


「見るんなら、あたしじゃなくて図鑑見てよ」


「嫌だねー。俺は図鑑見るために来たんじゃねえもん」


「じゃ、なんのために来たの!?」


「お前とこうして、図書室で放課後を過ごしたかったから」


「…………」


 もう、なんと返事をすればいいものか。


 さっきからポンポン飛び出る爆弾発言に、こっちの心臓まで爆発しちゃいそうだ。


 あたしのこと、からかってる?

 それとも本気で言ってる?

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