白い花が咲いたなら

 ふたりきりの図書室。


 窓の外から、校庭で部活動してる音が紛れ込んでくる。


 すぐ隣なのに、なんだかすごく遠い世界の音みたいに聞こえた。



 昼の明るさと夕暮れ色が混じり合う空気が、向かい合うあたし達をじんわりと包みこんでいる。



 ……ねえ、本気で言ってる?

 それとも、ただの冗談?


 からかってるだけなら、そんなこと、やめて欲しいんだけど。


 そう思っていても、口には出せない。

 だって


『ごめんごめん。冗談だから』


 もし本当にそんな風に言われて、目の前で笑われちゃったら?

 あたし、傷ついちゃうよ。

< 19 / 63 >

この作品をシェア

pagetop