白い花が咲いたなら
わかんないよ。
そんなの、あたしにもわかんない。
「俺と手を繋ぐのが嫌? なら、離していいよ?」
あたしは首を横に振った。
だって嫌じゃないんだもん。
そういうことじゃ、ないんだよ。
あのね、きっとね、街を照らす灯りとか。
窓辺から聞こえてくる家族の声とか。
暗い空を彩る、ちっぽけな星の光りとか。
『怜奈』って近藤くんから呼ばれた時の、飛び跳ねるようなドキドキとか。
……世界は、なんて一生懸命なんだろう。
その世界の中で、近藤くんとあたしが、こうして手を繋いで歩いてる。
そのことが、とても素敵に思えたんだ。
胸が張り裂けそうなくらい、いっぱいで。
ジーンって、痺れるみたいに熱くなって。
「そしたら、なんか勝手に涙が出てきちゃったよ」