白い花が咲いたなら
近藤くんはあたしの家の前で、繋いでいた手を離した。
守られるように温められていた手に、急に冷たい風を感じる。
だから、ちょっぴり心細くなった。
「じゃ、またな」
「うん、また明日。送ってくれてありがとう」
遠ざかる彼の姿をその場で見送りながら、あたしは初めての気持ちを感じていた。
もっとずっと、近藤くんと一緒にいられたらいいのにな。
そんな風に思う自分の気持ちが不思議で、嬉しい。
やがて彼の姿が曲がり角を曲がって、見えなくなった。
彼にも、誰にも聞かれていないのを確信してから、あたしは小さくつぶやく。
「近藤くん……」
彼の名前を口にすると、胸がきゅんって鳴る。
勝手に頬がゆるんで、照れ笑いみたいな顔になっちゃう。