白い花が咲いたなら
恥ずかしいな。
こんなとこ、ご近所さんに見られたら変に思われちゃうよ。
早く家に入ろう。
そう思いながら見上げる自宅は、ご近所の家と同じように明かりが灯っている。
見慣れたその光景が、なんだか嬉しかった。
そして歩き出そうとして、気がついた。
あ……。
白い花。
足元に、いつの間にかあの花が咲いていた。
周りの夜の闇から浮かび上がるように、ふわり、白さを際立たせて。
水辺に揺らめく蛍の光みたいに、こんなに儚くて、でも目を離せない。