白い花が咲いたなら
真貴子がボールを繰り返しバウンドさせる音が、静まり返った体育館の隅々まで響きわたる。
彼女の目は、ボールと床をじっと見ている。
あたしは、そんな真貴子を見ながら口を開いた。
「知らなかった……」
「そりゃそうでしょ。話してなかったもん」
「なんで言ってくれなかったの?」
「いやー、話して楽しい話でもないしー。 けっこう壮絶な内容だから言いにくくてさー」
壮絶な内容……。
わざと明るい調子で言う真貴子の様子を見れば、逆にどんな深刻なイジメを受けていたのか。
真貴子がどれほど苦しみ、傷つけられたのか想像できるような気がした。
あたしの腹の奥から、ふつふつと怒りがこみ上げる。