白い花が咲いたなら


 ……だからさ、バスケだけが心のよりどころだったの。


 親戚中のみそっかすだった自分にとって、たったひとつの誇れる物。


 本当に真剣にバスケに取り組んでたんだ。


 でも真剣すぎて、部活の仲間とかにも、それを押し付けてた部分があって。



「少しずつ、仲間と距離ができた。そりゃウザイよねー。他人の事情を勝手に強要されたんじゃさ」



 そう言って真貴子は、素早く身構えてシュートを放った。


 滑らかな放物線を描き、手から離れたボールはリングに吸い込まれる。


 そしてネットを揺らし、床に落ちて大きな音をたてて弾んだ。


「辛かった。学校に行けなくなって。バスケができなくなって。仲間からも見放されて」


 体育館の端っこの方へコロコロ転がっていくボールを、真貴子は見つめている。

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