白い花が咲いたなら

 そんな場所に咲いているのに、あたしは違和感を感じなかった。


 この花が普通の花じゃないことは、すでにわかっていたから。


 真貴子がこの花を見ることができた理由も。


 あたしも、真貴子も、今この瞬間に全て理解した。


「怜奈」


 真貴子があたしに抱きついてくる。


 両腕を背中に回し、ギュッて強く抱きしめてくれた。


「怜奈、大好き。大好きだよ」


 心からの、彼女の言葉。


 なによりも嬉しい最高の言葉が、あたしの耳に確かに聞こえる。


 うん。今度はちゃんと届いたよ。真貴子の心が。


 あたしも大好きだからね。真貴子のこと。

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