白い花が咲いたなら

「ありがとう怜奈。じゃあ、あたし行くね」


 抱きしめる腕を離し、真貴子は駆け出した。


 あたしは遠ざかっていく彼女の背中を、じっと見送る。


 そして、その姿が見えなくなって。


 あたしはそのまま、しばらく立ち尽くし……


「……ふう」


 ひとつ、大きく息を吐いた。



 あぁ

 あたし、近藤くんに会いたいなぁ。



 体育館をぐるりと見回し、後ろ手を組んで。


 ゆっくりと、あたしは歩き出した。





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