白い花が咲いたなら
屋上で、触れた
学校の屋上で風に吹かれるのって、すごく気持ちいいんだなぁ。
こんなことなら、もっと早く体験しておけば良かった。
そんな風に考えながらあたしは、高い視点からこの街並みを見おろしている。
そして胸いっぱいに空気を吸い込んだ。
「よお」
会いたいと思っていた人の声を聞き、あたしは振り返る。
後ろに立つその人を見るあたしの顔は、自然に微笑んでいた。
やっぱり来てくれたね。
「近藤くん」
「怜奈、気がついたのか?」
「うん。あたし達、もう死んでるんでしょ?」
あたしの問いに、近藤くんはあっさりうなづいた。
あんまりにも彼の態度があっさりし過ぎて、あたしは逆に笑ってしまう。
もうちょっとドラマチックにできないもんかな?
これ、けっこう衝撃の事実だと思うぞ?