白い花が咲いたなら

「この学校は特殊な場所に建ってるせいで、霊的な現象を引き寄せるんだとさ」


「あたし達のこと、生きてるみんなは気づいていないんだね」


 言われてよくよく考えてみれば、思い当る。


 学校で真貴子や近藤くんと一緒に過ごした記憶はあるのに、他の友だちとの記憶はないもん。


 下校してから家族と過ごした記憶もない。


 そのことを不思議に思って当然なのに、なぜか今までちっとも変に思わなかった。


 これが死んでる者の感覚なんだろうね。きっと。


「この屋上に来られるのも、そのせいだろうね」


「普通なら立ち入り禁止だもんな、屋上って。これも一種の特権だな」


「死んでる特権って、それスゴイ。なんか」


 あたし達は声を上げて笑った。

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