白い花が咲いたなら
あの花は、咲いた。
限界をこえるまで真貴子を追いつめた罪に苦しみ続ける、友だちの所に。
娘を救えず死なせてしまって、それこそ死ぬほど自分たちを責め続ける両親の元にも。
花は咲き、真貴子は許した。
「あたしね、病気で死んだんだ。近藤くんは?」
「俺は交通事故。雨の夜に横断歩道で」
近藤くんは口をへの字に曲げて、難しい顔をした。
「俺、ちゃんと信号守ってたんだぞ? なのに制服が黒くて、傘の色も暗かったから見えなかったんだとさ」
「そうだったんだ」
「男物の傘の色なんて暗くて普通だろ? ひでえよなあ」
「反射シールを貼るべきでしたねー」
「小学一年生か、俺は」
あたし達は、また笑った。