白い花が咲いたなら

 いきなり背後から声が聞こえてきて、あたしはビックリして飛び上った。


 いつの間にか、あたしのすぐ後ろに男子が立っている。


「こ、近藤くん? もしかしてあの花が見えるの?」


 あたしはドキドキしながら、クラスメイトの近藤くんに話しかけた。


 実は不思議な現象のもうひとつは、この彼。


 最近、なぜかやたらと近藤くんと目が合うんだよなぁ。


 気がつくといつも彼は、深いハッキリした二重まぶたの目で、微笑みながらあたしを見てるんだ。


 机に頬づえをつきながら。

 教室のドアにもたれ掛りながら。

 廊下ですれ違いながら。


 色んな場所で、あたしを見ている彼と目が合っちゃうの。

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