白い花が咲いたなら

「俺のこの気持ちに、怜奈が引っ張られたんだと思う。また会いたいってずっと思っていたから」


「そ、そっかぁ」


「だからまた怜奈に会えて、すっげえ嬉しかった!」


 そう言って笑った彼が、ハッと息を飲んでシュンとしてしまった。


「……悪ぃ。怜奈も死んじまったのに嬉しいなんて」


「あ、ううん。謝らないでよ。あたし感謝してるくらいだし」


「感謝?」


「うん」


 あたしは笑顔でうなづいて、街の方を向いた。


 そして両手でメガホンを作って大声で叫ぶ。


「お父さあぁぁん! お母さあぁぁん!」


 胸いっぱいに息を吸って、ありったけの気持ちを言葉に乗せて吐き出した。


「ありがとおぉぉぉーー!」

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