白い花が咲いたなら
バッと視線をそらして、あたしは彼にクルリと背中を向ける。
そして窓際に頬づえをついて、素知らぬ顔でまた外を眺めた。
赤く染まってしまった頬を、両手でうまく隠しながら。
真貴子のおしゃべりにテキトーに相づちを打ちながらも、心は完全に上の空。
真貴子ゴメン。でも……。
背中向けちゃって、近藤くん気を悪くしてないかな?
怒ってないかな?
だって近藤くんが悪いんだもん!
急にあんな優しい笑顔を見せたりするから……。
青く澄んだ空に流れる雲を見上げながら
あたしの瞳の奥は、さっき彼が見せてくれた笑顔に占領されてしまっていた。