好きっていうまでは

「話って?」

「この前、私にしたこと覚えてる?」

「ああ。」


「私にもいるって気がついたの。好きなひと。

一緒にいたいって思う人が。」

陽輝はうなずきながら聞いてくれた。

「でも、一緒にいたいのと、好きなのは私は違うと思う。

私は陽輝とは一緒にいたい。これからもずっと。

でも、好きって言うのは、手を繋ぎたかったり、

早く会いたいって思ったり、デートに行きたいって願ったり、

キスしたいって…思うことだって私気づいた。」

私は1つ息をついた。

「私、神木くんのことが好き」

口に出すとすごく恥ずかしかった。

でも…その言葉を私の心が待っていたみたいに違和感なく、収まった。


「そ…うか。

わかった。本気みたいだな。」

「うん。」

「なら。俺は潔く身を引く。

彩華がピンチのときはいつでも相談乗るから」

陽輝は私の頭に手を置いてにっこり笑った。
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