好きっていうまでは
「なーに、泣いてんだよ。」
神木くんは私の頬を伝う涙を、指で拭う。
「じゃあ、なにもしなくていいから。
これから言う事に、怒らず、冷静に聞いて」
「うん。」
「エイプリルフール…でしたー!じゃじゃーん!」
…エイプリルフール?それって、4月1日なんじゃ。
いまは、4月6日。どういうこと?
「ごめん。本当のことじゃなくて、嘘」
「…嘘?本当のことではなく、嘘なの?」
「そう。ごめん、そんなに泣くとは…」
「よかっ、た。よかった。」
私は神木くんを怒らない。
だって、隣にいてくれるんだもん。
それだけでいいじゃん。
「ごめんって。泣くなよ。おいで」
神木くんは、私を包み込む。
「ごめんな?嘘だから。
ほんと、こんな嘘つかなきゃよかった」
「いいよ。ここにいてくれるんだよね?」
「ずっと、彩華の隣にいる。」
「ありがとう。」