好きっていうまでは
「なんで急に…」

《彩華たちに会ったら行けなくなるって思って》

「戻ってくるの?」

《わかんない》

わかんないって、なんで。


《俺の父さんが、彩華の父さんと親友だから、

そこで働くことになったんだ。

で、とりあえず母さんも行くから俺も行くことになった。

だから、いつかえれるかはわかんない》

電話を切る。


そんな、理由なんてどうだっていい。

私はもう走り出してた。

一人っ子だった私に、お兄ちゃんみたいは人がいてくれた。

それが陽輝だった。どこに行くでも一緒で、

楽しくて、ずっと一緒だって思ってたのに。

急にいなくなって、さよならさえも顔を見て言えない。

そんなの嫌っ。

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