好きっていうまでは

タクシーを捕まえて空港まで向かってもらった。


こんなに時間の流れが早く感じたことがない。

急がないと…行っちゃう。


空港についた私は急いで探す。

陽輝…どこにいるの!?


人がやけに多く感じて、目の前しか見えなくなった。

もう…会えないの?


「彩華…?」

何年も聞いたその声、その感じ。

振り向けばやっぱり陽輝だった。


「こんなとこでなにしてんだよ。もう、暗くなるだろ?

ひとりで帰れなくなったらどうすんだよ。」

「だって…陽輝に一生会えないかもしれないじゃん。

さよならくらいは直接言っておきたかった。」


陽輝は私が一人で来たことに少し怒っていた。

少しため息をついて誰かに電話し始めた。

「ああ。今すぐ…じゃ」

電話が終わって、また私に向き直る。


< 213 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop