好きっていうまでは
「俺、そろそろ行かないと」
「陽輝、またね」
私は陽輝に手を振る。
「じゃーな。また戻ってこいよ」
「あ、そうだ。るい。彩華のこと守ってやれよ。
俺がいなくなっても寂しい思いさせんなよ」
「言われなくたってわかってるっつーの」
陽輝とるいはこんなときでも喧嘩だね…。
「陽輝…その…これ。」
奈央が渡したのは細長い箱だった。
陽輝が箱を開けると、中には小さなリングがかかってるネックレス。
「そのリング、もともと私のでチェーンに付けただけなんだけどね。
お守りみたいなもん。」
奈央はちょっと照れながら、明るい口調で言う。