好きっていうまでは
私も偶然最後の列だった。
時間がすぎるのは速くて、もう私の番。
パァーンという合図で走り出す。
痛い足。でも痛いのが誰にもバレないように、私は走った。
なんか、走りに夢中になると、痛みを忘れる。
「彩華?大丈夫なのか?」
陽輝が心配そうに言ってきた。
「うん!大丈夫みたい!」
走りきれたことと、運良く一番になれたことで嬉しくて、
元気になって足の痛みなんて何も感じなかった。
「なら、いいけど…」
陽輝は心配そうなまま、次の種目の長距離走の待機場所に行った。