好きっていうまでは
ほっと息をつくと、足が痛み始めた。
足を少し引きずりながら歩いてたら、肩が誰かにぶつかる。
「ごめんなさい!」
「あー!あたしと一緒に走ってた子じゃん!」
突然、そう言われて私はキョトンとしてしまった。
「さっき、短距離あなた凄い早かったよね!
あたし、森奈央[モリ ナオ]。よろしくね!あなたは?」
「芝泰彩華です。」
「あーーー!めっちゃ頭いい子!なのに足も早いって、すごいね!」
そんなに感心されたのは初めてだった。
すごく明るくて、気さくな人。
髪の毛は明るめの茶色で、ショートヘア。
ルックス良くて背も高い。まるで王子様。
「彩華って呼んでもいい?あたしのことは奈央でいいよ!」
「はい。彩華で大丈夫です」
「敬語は距離感あるって!」
そう言って、私の背中を叩く。