好きっていうまでは
「だいたい、階段から落ちたって相当だけどさ。
それ、ほんとなの?」
「う、ん。ほんとだよ」
「俺に嘘つくの多分無理。嘘見抜くの得意だから」
真剣な表情で見てくる。
「ほんとになんでもないの。ただあかねさんとぶつかってそれで…」
「ぶつかってって、押されたんじゃねーの?
俺、そいつ知ってる。結構なんでもしちゃうやつだから。」
「…多分、あかねさんは私を嫌っているの。
だから、あの日も私を。」
「ほーら。俺に嘘つくの無理でしょ?」
ドヤ顔で、私を見てくる。
確かに、無理かもしれない。
だけど、私が嘘つくの下手なだけなのかも。