絶対に惚れさせてやる【非公開】
2人が肩を貸してくれてようやく地面に足がつく
「…ごめん
ありがと」
そう呟いた時
「…紗‼」
不意に聞こえた大好きな人の声
好きなはずなのに、前と違って心臓はなんの音も立てなかった
「……彰」
「…なにやってんだよ
ほんとどんくせーなー紗は」
「…彰に言われたくない」
心配そうな顔をしながら笑う彰に冷たく返すのは私の悪いところ
「紗、保健室いこ!」
「…一人で大丈夫
2人は授業戻っていいよ」
由良に遠慮して2人に支えられてる腕を解き、歩こうとする
「……俺が連れて行くよ
紗も一人だと階段とか危ねーだろ?」
「…は?」
「まぁ、長谷部なら安心か
紗をよろしく」
「ありがとぉ〜彰くん」
だけど、私が断ったせいでもっと厄介な人物の付き添いが決まってしまった
「……来なくていいし」
「…んな冷たいこと言うなよー」
あー…
なんで私はこんな性格なんだろう
萌亜先輩なら
『彰、ありがとぉ‼』
って可愛くお礼言うんだろうな…
「おい待てよ〜」
1人で足を引きずりながら運動場を横切る私の後を、彰が追いかけて来るのが分かる
それだけですこし嬉しく感じる私は、いつ彰のことを諦められるんだろう…