絶対に惚れさせてやる【非公開】





……なんでいつもいつも私の気持ちに…






私の複雑な気持ちに気付いてくれるんだろう






それに





なんでそんなストレートな言葉で気持ちを伝えられるんだろう








ガラッーーー





固まっている私を通り過ぎ、瀬上は保健室の扉を開ける





「……いねぇーじゃん」






その声でハッとした私が、瀬上に続いて中を覗き込むと目に入ったのが







『先生は出かけて居ます

他の先生を呼ぶか、保険委員に付き添ってもらってください』






の置き手紙






「…どうしよ」





戸部先生が居ることはほとんどないけれど、いざ怪我をしたときに居ないとなると少し困る






「…センパイ、座って」






視線を上げると、いつの間に入ったのか消毒液を片手に座っている瀬上







長い足を伸ばしてダルそうに座っている姿も様になっているからムカつく






「…何、あなたが手当てするの?」



「それ以外誰がいんの?」



「いや、自分でするから」



「黙って座れって」





これはもう決定されたことなのか…と諦めた私は渋々瀬上の前のベッドに腰かける






「何でさっき彰先輩と居たの?」




私の足を消毒しながら口を開く瀬上





「だから付き添いだってば!」



「そうじゃねーよ

なんで付き添いが彰先輩なのって聞いてんの」







…なんで怒ってるのよ





「別にいいじゃない


彰が自分から連れて行くって言ったんだから


サボりたかっただけみたいだけどね」






そう…彰はサボりたかっただけ





決して心配してたわけではなさそう






「……ムカつく」





「はぁ?」






ボソッとわけの分からない苛立ちの言葉を呟いた瀬上は、私の膝にデカイ絆創膏を貼ると







「出来た」





「痛いっ!
ちょっと!何するのよ」





バシッと上から叩いてきやがった






< 112 / 124 >

この作品をシェア

pagetop