絶対に惚れさせてやる【非公開】
「なぁ…
俺のこと…好きになれよ」
「…っ」
それは瀬上とは思えないほど弱々しい声で
失恋したばかりの私の心に、ジワジワと暖かく染みていった
「…センパイ?」
広い背中に私の短い腕を回し、めいいっぱい力を込める
なんで抱きしめ返したのか分からない
瀬上の声を聞いたら勝手に腕に力が入ってた
密着してるからか、瀬上の言葉がいつもより自分の中に入ってきて
想いが真っ直ぐに伝わってくる
「分かってるよ…
諦めなきゃいけないってわかってる…」
「……」
「でも、好きだった人を諦めるなんてこと…私には簡単にできない」
「……」
顔を押し付けている瀬上の胸は温かくて
このままでいたいと思ってしまう
そんな気持ちとは反対に、優しく離される身体
「……」
「……」
私より遥かに上にある顔を見上げると、乱れた前髪の隙間から細められた目が見えた
「…瀬上…
そろそろ戻らなきゃ…」
慌てて目をそらして教室に戻ることを促す
はやくここから出たかった
うるさい心臓
心地よい感覚
温かい温もり
今気づきたくない気持ちに気づきそうで怖かった
「ねぇ瀬上…っ」
なのに瀬上はどんどん顔を近づけてきて
「……っ///」
鼻と鼻が触れそうな距離まで近づく
そこでピタッと一旦止まった後
「いい?」
そんなずるい言葉を囁き
「……っ」
また、唇を重ねられた