絶対に惚れさせてやる【非公開】
……………
……
「「あ……」」
吹奏楽部の楽器の音が響く放課後の廊下
下駄箱が並ぶ通路で、私と相手の声は重なった
「……今から帰んの?」
「…うん」
「ふ〜ん」
自分から聞いてきておいて興味なさげな態度に若干イラつきながらも靴箱に手を伸ばす
「あなた…怪我大丈夫だったの?」
「ん〜…まぁ俺頑丈だし」
これもまたハッキリとしない答えが返ってくる
「センパイ一緒にかーえろ」
「………」
……なぜだろう
イラッとする
「帰らない」
「なんで?」
しつこいコイツは私よりはるかに背が高く、右にある靴箱に手をついて私の前に立ちはだかっている
「どいて。進めない」
「だって、どいたら先帰んじゃん」
「当たり前でしょ?
どうしてよく知りもしない年下と帰らなきゃならないのよ」
「は?、先輩俺のこと知ってっし」
「知ってるよ
でもさっき知ったばっかり」
いい加減突き飛ばしたい気持ちになってきて足踏みしていると
「俺が何で失恋したこと知ってるか知りたいんでしょ?」
と真顔で言われ、私の身体は硬直した
「……何で知ってるのよ」