絶対に惚れさせてやる【非公開】
「紗〜?いつもに増して表情が固いね
何かあったのー?」
「長谷部君のことぉ?」
いつも通り休み時間にサッカー部の練習メニュー表を書いていると、よく一緒に喋る2人が近づいてくる
「彰…あぁ!
そうだ…また嫌なこと思い出した」
いきなりガタッと椅子から立ち上がって、風船がしぼむみたいにヘナヘナと座り込んだ私に驚きながらも
「ご…ごめんね!
なんか余計なことまで思い出させちゃったみたいで」
私の更に近くまで来て、顔を覗きこみながら謝ってくる
「違う…未來(ミク)は悪くない…
悪いのは…」
そう
アイツ、瀬上のはずなのに
「悪いのは?」
「…………彰」
彰のことをここまで忘れていたなんて自分でもビックリだった
「やっぱり彰君で悩んでんじゃーん!恋は辛いね…」
「由良(ユラ)…」
違う…
私の脳内にさっきからチラチラ見え隠れするのは彰じゃない…
「……あぁっ!イライラする!」
何とも言えない気分のまま、もうアイツと話すこともないから別にいいか…とも思えてくる
「なんか大変みたいだね?でも新しい恋だよ!
いつまでも引きずってるなんて紗らしくないよ?」
何か私の様子を勘違いしているみたいな未來はそう言って励ますけど
「…もう好きじゃないよ
今思えば、弟みたいなものだったのかもしれないし」
口では強がりながら全然吹っ切れない私