絶対に惚れさせてやる【非公開】




『すーず♪
帰ろうぜっ!』





部員達は帰ってしまって誰もいないはずなのに振り返って存在を確認してしまう





もうかけられることのない言葉を待っている自分が虚しくなる








『彼女出来たんじゃないの?』



『家逆方向だもん』



『送ってあげなよ』



『え〜めんどいっ!
それにもう帰ったし、あの人』







確かに私はあの時“送ってあげなよ”と言った







そう言えたのはきっと






彼女が出来ても私と一緒に帰ってくれるという変な自信があったから







…そんな訳ないのに








「……った」






ゼッケンの解れた部分を塗っている時、針で指を刺してしまい我に返る








…また私は彰のことを考えて…






ちょうど縫っている最中の彰のゼッケン




彰はサッカーにおいて最後の砦とも言われる、守備力…時には攻撃力も求められるセンターバック




背番号3番






それに悲しみをぶつけるように



強く…強く握りしめた










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