絶対に惚れさせてやる【非公開】



「紗ー!」






ビクッ





すっかり頭になかった失恋の種となる人物が私の名前を呼ぶ







「…彰…

走り終わったの?」





「おう!佐々木がビリで、今皆に囲まれて腕立て伏せしてるよ」





「…冗談だったのに」






佐々木りん



可愛い顔をした男の子だけど誰よりも負けず嫌いなサッカー部員




たしか瀬上と同じ1年C組だったはず








「佐々木って…聞いたことあるな」





瀬上本人は他人に興味がないのかそんなことをボヤいている











「……で、紗…

聞くの早いと思うんだけど…」




「……」






言いにくそうにする彰の表情ですぐに何が言いたいか分かってしまった









「…考えてくれた?Wデートのこと」





「……」









なんで…






なんで瀬上の前で言うのよっ!





いや…別に嫌なわけではないけど





絶対コイツのことだから何か聞いてくる!!











「………紗?」






隣の瀬上がどう出るか、黙って様子を伺う私には彰の声は聞こえない









『え、センパイ彼氏いんの?』



とか?





『へぇ〜…センパイがWデート…

センパイがねぇ〜』





か?



…それとも






『…バカだなセンパイ』





ってまた哀れむような目で見てくるか?









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