絶対に惚れさせてやる【非公開】



カタカタカタカタ





カタカタカタカタ






ゴゥンゴゥンゴゥンゴゥン









…目を瞑っていても分かる



今、気絶しそうなくらい高い所にいると







「……っ…」







こんな状況の中でも、隣からは楽しそうな二人の声





落ちるなら早く落ちて!!



痙攣を起こしそうなほど強ばっている身体



異常なほど鳴ってる心臓








カタカタカタ…カタ





頂上付近に近づき、少しスピードが落ちてくる







ギュッと唇を噛み締めた時だった






ガシッ





「へっっ!?」





いきなり両手が安全レバーからはがされる





手元を見ると私の手を掴んでいるのは隣の瀬上の手






「ちょっと!やめて!」





そう叫んで思い出す






『じゃあ、落ちる時、手離そーぜ』






さっきの瀬上の言葉






……うそ



うそうそうそ




「やめて!お願い!手なんか離せないよっ」




半泣きになる私を無視する瀬上は私の手を離さない




いくら力を入れてもレバーまで手が届かないのは分かってる




後輩と言えど瀬上は男なんだから





それでもこのままなんて絶対無理っ!!





「は…なして!ねぇ!瀬上!聞いてるの!?」





もうわけが分からない!




必死で呼びかけてるのに無表情で前方を見つめるだけ






カタン…カタン…カタン






ジェットコースターはもはや止まりかけ





カタン…カタ…ン






あぁ…もう終わりだ











反抗する腕をピタッと止めて




「「「キャーーーーーー」」」







まだ落ちてもないのに響き渡る悲鳴の中、再びギュッと目を瞑る






何かに捕まってないから身体の不安定感がハンパじゃない





乗り物から落ちるかもしれないとさえ思ってくる











カチッ



















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