絶対に惚れさせてやる【非公開】
「っ!?」
突然視界が真っ暗になる
それと共に私は、ジェットコースターの時と同じくほんのり香る柔軟剤の匂いに包まれた
「…えっ?」
状況を理解出来てない私の手首がパシッと掴まれて引っ張られる
引っ張られたまま走るようにして歩く私の耳に聞こえてきたのは
「ソレ、取るなよ?」
という瀬上の声
その言葉でやっと、頭に被せられた黒いものが瀬上の着ていた上着である事が理解出来た
「ちょっ!ちょっとどこ行くのよっ」
「……」
無言でグイグイ引っ張りながら前を歩く瀬上の背中を見ても
ヤツが何を考えているのかさっぱり分からなかった
「………」
「………」
あの場を離れられてホッとしながら
……また助けられてしまった…と思っていた
「………」
「………っ」
「………」
「……〜〜っ…」
再び溢れかえる涙
私は思った以上に涙腺が弱かった…
…それも後輩の前でその涙腺を決壊させてしまうなんて
「……?」
不意にピタリと止まった瀬上を不思議に思い、顔を上げようとする
が、
「いたっ」
「顔上げんな」
瀬上の大きい手によって上から押さえつけられてしまった
「君たち乗るんだね?
いや〜ギリギリだよ。
間に合って良かったね。君たちのカップルで今日は終わりかな?」
上からは優しそうなおじさんの声が聞こえてきて
そのおじさんの言葉を聞いた後、瀬上の脚は再び進み出す
「…わっ!」
それがいきなりで蹴躓いていると、グイツと強く引き寄せられて
「いってらっしゃ〜い!
夜景を楽しんできてねぇ〜!!」
今度はお姉さんの声が聞こえてきて
ガシャンッ
……どこかに押し込められて閉じ込められた