絶対に惚れさせてやる【非公開】
「……」
「……」
この目の前の生意気な小僧は恋なんてしたことあるのだろうか
…本気の恋なんてしたことないんだろうなぁ
こういう奴はきっと誰でもいいんだろう
顔も良し
運動神経良し
成績…は知らない
性格は…生意気…
でも女子ってやつは顔が良ければ大概が寄ってくるから、コイツも女には困ってないんだろうな…
…私がボーッとそんな事を考えていると
「なぁ…
この観覧車、ジンクスあるらしーよ」
と、いきなり話題を振ってきた瀬上
「…へぇ」
私はそれを適当に流す
ガラス張りから外を見ると、もう随分と高いところまで上がってきていた
下に点々とあるビルの光が星みたいに輝いている
室内は暗闇に包まれていたけれど、上に上がるにつれて月の光が差し込む
そっと瀬上に顔を向けると、その顔は月明かりで照らされ
色素の薄い髪はどこか幻想的に光り
耳元のピアスも淡い輝きを放っていた
「………」
なんか…綺麗…
「…なに見とれてんの?
惚れた?」
少し口元に弧を描き、視線だけこちらに移したヤツ
ドキッ
その視線と私の視線がぶつかり、心臓が妙に速く動き出す
「……っ」