絶対に惚れさせてやる【非公開】
「はぁぁぁ?」
…なんつったこの小僧?
今何を…
「あと1分くらいで着くよ?頂上」
当の本人はケロッとそんな事を言っている
「…ねぇ瀬上」
「…なに?」
「一応聞くけど、ジンクスを実行しようとしてるの?」
「そうだけど?」
「…誰と誰が?」
「…俺とセンパイが」
「誰センパイのこと?」
「紗センパイしかいねぇーじゃん」
……コイツ…正気か?
「私とアンタがキスすると?」
「正解
そこまでバカじゃねぇーじゃん」
「…瀬上あんた、1回あの世に送ってやろうか?」
完璧に私をバカだと舐めきっていた目の前の後輩を睨む
するとその視線の先の男はゆっくりと動いた
「…えっ?」
─────ガシャンッ
「……」
「…っ!?!?」
気付くと床に座り込んでいた私はガラス張りに追い詰められ
その私の前には、私の両手首を押さえつけた瀬上が覆い被さるように、膝を床に付き上から私を見下ろしていた
「…え、ちょ」
「…なぁセンパイ」
「ちょっと瀬上!」
「彰先輩はこの際どーでもいいけどさ」
「離れなさいよっ!この野郎!」
「…無理にあの先輩の恋応援して自分が傷ついてるセンパイ見て思ったんだけど…」
「ちょっと瀬上聞いてるの!?」
ジタバタ暴れても涼しい顔で私を抑え続ける瀬上にだんだんムカついてくる
「……ちょっと、いい加減に……」
流石にキレかけて、ヒールのブーツを履いた足で蹴り飛ばしそうになった時
瀬上が発した言葉で、私の身体はピタッと止まり固まった
「……俺が忘れさせてやるよ
彰先輩のコト」