白いもの

僕は道中のバスに酔ったということを口実に、酒席を抜けて露天風呂に来ていた。


『男湯』と書かれたのれんをくぐり、脱衣所でジャケットを脱いだ時、財布を持っていることに気づく。


風呂場にはロッカーはない。


(チッ……部屋に置いてくれば良かったな……)


僕はのれんを再度くぐり、フロントへ財布を預けることにした。


そして、露天風呂へ戻る途中に彼女に出会ったのだ。
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