白いもの
ピンクのチークを引いたような上気した顔がこちらを振り向いた。
その頬のピンク色と、肌の白さが目を引く。
きっと普段はコンタクトなんだろうという感じのメガネで、そのフレームを人差し指の甲側で持ち上げながら、驚いたような顔をしていた。
短めの髪を無理やりゴムでポニーテール付近でまとめていた後姿の印象からすると、随分若い人だと感じていたのだが、振り向いたその顔は十分に大人だった。
「えっと……わたしですか?」
人差し指を今度は自分の鼻に当て、彼女はそう聞いた。
「あっ……はい。そこのですね、曲がる前に白いものが……」
彼女はそれだけ聞くと、みるみる耳の先まで真っ赤になった。
僕は、本当に人間て恥ずかしいと真っ赤になるんだなあってぼんやり考えていた。