白いもの

その時だ。


僕らがいる場所と反対の方、風呂場の方から人の話し声が聞こえてきた。


(ヤバイ! アレがもしアレだったら……人に見られる!?)


彼女と僕は顔を見合わせた後、一斉に走り出した。


後から考えてみると、彼女にとっては他の人に見られるのも、僕に見られるのも恥ずかしいことに違いないのだが、その時の僕にはそれを考える余裕はなかった。


もしこの時、彼女の顔に困惑が見えていたなら、僕も気づいていたんだと思う。


だけど、彼女の表情からはそれらしきものは伺えなかった。
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