【短】ある日桜の木の下で




「そう?嬉しいよ。」



フワリと微笑む彼に胸が高鳴る。



なに、この気持ち……



すると、風が吹いた。



サーッという音とともに散る桜の花びら。


その桜は風に乗って彼の周りをグルグルと回る。



まるで…彼のためにあるような桜だ。


すごく綺麗で見惚れてしまう。


彼がいると桜がより輝いて見える。



桜が似合ってるな……



「桜、好きなの?」



彼のその声で私は我に返る。




「桜、大好きです。とても綺麗で可愛くて…。見てると元気もらえるんです。」



そう言いながら舞っている桜の花びらに手を伸ばす。



手のひらを空に向けて桜が落ちてくるのを待つけど全然来てくれない。



むしろ、私が桜のもとに行った瞬間、風が止んだような……




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