もしも勇気が出たら君を抱きしめたい
「先輩方も、少しのぞいてくれるみたいです。」
岡部が嬉しそうに笑う。
「もも先輩と、九条先輩はセンター試験前の最後の息抜きやって、最初から最後までおってくれるんですよ。」
「そうなんか」
「二人でごはん食べてから、来るっていうてはりました」
「ほんまに仲良いなぁ」
自分で言ったセリフで、自分の首がしまる。
九条はそのつもりはなくても、伊東はどうかはわからない。
クリスマスを一緒に過ごすぐらい、互いに大切に思っている。
見た目も、性格もお似合いなふたりが付き合わないのか、期待する後輩たちはすごく多い。
毎回、二人ともそれはないと否定はするが、ほんとうにそうなんだろうか。
「んじゃ、私先に行くんで、先生も早く来てくださいね」
岡部が走っていくのを見送って、一人で廊下を歩く。