もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


僕は、ずっと九条に嫉妬している。


ずっと年下の男に、本気で嫉妬している自分が滑稽で笑ってしまう。

クリスマスに、伊東と過ごせる九条に。

堂々と二人で歩ける九条に、


どうしても嫉妬してしまう。


これ以上見ると、今日会ったときにうまく話せなくなりそうだから、僕は窓から目を離す。


今日、二人は一緒にコンサートにくる。

きっと、二人で帰っていく。


その後ろ姿を笑顔で見送れるか、僕には自信がなかった。



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