もしも勇気が出たら君を抱きしめたい
「吹奏楽部クリスマスコンサート会場はこちらでーす」
部員が勧誘する声が音楽室に響く。
うちの音楽室は小さいステージのようなものがついていて、広さも十分あるから、音楽室でミニコンサートができる。
さすが私立の学校だなぁと、最初は驚いたものだ。
音楽室には、主に部員の友達が大勢つめかけていて、いっぱいいっぱいになっていた。
僕は今日は全曲で指揮をふることになっているから、舞台そでにいた。
舞台そでから入口をじっとみる。
九条と伊東はまだ来ていない。
時計を見ると開演10分前。そろそろ来ないと会場に入れそうにない。
「うわぁ、多い!」
人でごった返している音楽室なのに、どうして君の声はこんなにもまっすぐ僕に届くんだろう。
入口に唖然としている伊東と、九条が立っていた。