もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


部員全員を送り出す。時計を見ると、もうコンサートが終わって一時間たっていた。


僕は音楽室の鍵を閉めて、研究室に戻る。

すると、研究室の前に見たこともない箱がおいてあった。


こんな箱、コンサートの前にはなかったはずだ。


誰かの忘れ物かと思い持ち上げると、思ったよりも軽くて拍子抜けした。


中身を見ていいものか、悩んでいると、手紙のようなメモ用紙がはさんであるのが見えた。


「メリークリスマス。いつもありがとう」


それだけしか書いてなかったけど、文字を見た瞬間に誰からかわかった。

わかったと同時に、僕は勢いよく走り出す。


もしかしたら、まだ、まだどこかにいるかもしれない。


僕は全速力で門に向かう。



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